キャベツ畑でつかまえて

観劇の長い感想と記録を残すブログです

歌舞伎『刀剣乱舞』観劇感想

刀剣乱舞歌舞伎を観てきた。

いやぁ…… よかったですねとうかぶ!

当方、歌舞伎はたまに、新作歌舞伎も少々*1観たことがある程度、刀剣乱舞は原作ファン三日月推しメディアミックスはいちおう制覇してる程度のミュオタですが。

とうらぶファンとしても歌舞伎ファンとしても納得で、楽しかったです。

「江戸時代に刀剣乱舞があったら」というコンセプトで作られただけあって、すごく歌舞伎らしい。人ならぬものが人に化けてるのも、ちょっと強引な展開もメタ台詞も。そもそも、「あの人が本当は○○だったら」という歴史ifものを量産してきた分野なので、物語として相性が良いのは間違いなかった。

現代的な邦楽アンサンブルの下座音楽や音声のみの審神者などの演出は刀剣男士たち「未来のできごと」の時のみ、義輝たちとの「現在」場面は本格的な丸本物のような義太夫、浅葱幕の前で大薩摩を演奏、出てくるのは女性の琵琶奏者*2、華やかな大立ち回りの終盤に盆が回ってからの背面飛び、等など、古典と現在がほどよく融合してたと思います。

設定の説明もしっかりしてるのでとうらぶを知らない人もすんなり理解できたと思うし、初めて歌舞伎を観る人でもじゅうぶん歌舞伎を満喫できたろうし、双方の導入としてとってもよかった。そしてそして、歌舞伎パートが本当に素晴らしかった!

「初めて観る古典演目です」と言われても納得できてしまいそうな場面で、梅玉さんたちベテランがしっかり締めて、大きな土台の上で若手の活躍を観るの、良い時間でしたね…… 特に鷹之資さんほんとよかったです。他の演者さんも歌舞伎で観たくなりました。

 

ところで歌舞伎は歌舞伎座では毎月いろんな歌舞伎をやってるし、地方公演もあるし(詳しくは松竹の公式サイトを観てね)、国立劇場でもお値段お手頃にやってたりするし(いまの建物はもうすぐ無くなるけど)、どこもだいたい直前で良席とれちゃうんですよね……
リアル観劇のハードルが高い人にはシネマ歌舞伎なら映画館で観ることもできるし、テレビならNHKやBS松竹東急で頻繁に放送してるし、わりとホイホイしやすい芸能だなって思います。世間で言われるよりわりと、舞台上も客席も自由ですし。

今回で歌舞伎を知ったひとが、他の演目も楽しんでくれるといいな。というか、わたしがもっと観に行きたくなりました。

*1:NINAGAWA十二夜、野田版のいくつかは観た、三谷さんの風雲児たちナウシカシネマ歌舞伎で、スーパー歌舞伎は未見という偏りっぷり。

*2:それでも女性奏者はこの人だけで、義太夫長唄を弾くのはみんな男性なんだな…… と個人的に思いました。女性が立ってるだけすごい事なのですが